取り組み – 牛について

松永牧場では、肥育用の牛を飼育しています。

愛情をもって育てている牛やその環境についてご紹介します。

和牛・交雑種の2種類の牛を飼育

現在、松永牧場では主に和牛と交雑種(F1エフワン)、2種類の牛を育てています。

和牛とはご存知のとおり黒毛和種のことです。

交雑種とは、 ホルスタインと和牛の交配で生まれた子をいいます。

黒毛和種の特徴は、肉質がとてもよくおいしいのですが、成長が遅く生産コストが非常に高いという弱点があります。

交雑種は、あまり脂肪がのらず肉質はやや劣りますが、成長が早く生産コストが安いという特徴があります。

松永牧場ではそれぞれの牛の特徴を生かして、おいしい牛肉を生産しています。

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子牛について

和牛は、島根の市場より生後9ヵ月程の牛を購入してきます。美味しい牛肉を作るために、血統のバランスを重視して購入しています。

交雑種は、生後1ヵ月程の牛を、岡山、広島、千葉の市場より購入してきます。

また、契約繁殖農家へ当牧場が精液を配布し、生まれた子牛は全頭購入しています。

子牛は、集団哺育システムで約3ヵ月間育てます。

牛について

この時期にワクチン接種を行い、病気を予防しています。

1部屋に30頭の子牛が飼われており、2部屋の60頭分の子牛を1台の自動ミルク調整機で管理しています。

牛について

成長段階によって1日に飲ませるミルクの量は決まっています。

この自動ミルク調整機は、牛が首にかけている首輪を識別して、それぞれの牛が飲むミルクの量を管理しています。

牛について

哺育牛舎では2人の獣医が毎日、牛の健康状態をチェックしています。

牛について

離乳後1ヵ月育成牛舎に移動し、約5ヵ月間飼育します。

肉質を安定させるため、5ヵ月で去勢、8ヵ月で除角を行います。

餌は乾草を主体に配合され、丈夫な胃袋つくりに重点が置かれます。
※エサを沢山食べて、良い牛を作るためには、丈夫な胃袋が必要だからです。

血液検査も行われ病気の早期発見に努めています。

牛について

生後9ヵ月になると肥育牛舎に移動します。

ここで、交雑種は生後26ヵ月まで栄養満点の餌を食べ大きくなります。

和牛は生後30ヶ月まで大きくします。

餌の成分と採食量はすべて記録され、牛の栄養状態には細心の注意をはかっています。

エサやり車には、採食量が記録されるようになっていて、その量をパソコンで管理しています。

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お産について

牛について

母牛は、当牧場で産まれ育った牛から選抜します。

現在の母牛はすべて和牛です。

母牛となる牛が生後12ヵ月になると、人工授精を行います。

受精後40日で妊娠鑑定を行い 、人と同じく、超音波をあてて妊娠したかどうかを確認します。

受精後、285日前後で一頭の子牛を出産します。ごくたまに双子が生まれます。

生後7日間は母乳を飲んで免疫抗体を獲得します。その後は母と子牛を離します。

母牛は、1年に1産して、7、8回子牛を生みます。

生後7日間を過ぎた子牛は、カーフハッチで一頭一頭大切に育てられます。

1日に3回哺乳瓶で人工乳を飲みます。

生後3週間までここで過ごし、その後は集団哺育に移行します。

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餌について

安全性にこだわった自然な飼料を食べさせています。

平成20年7月より豆腐粕を中心とした、食品残渣で「うの花サイレージ」のエサを当牧場で製造しています。

豆腐粕・フルーツ(バナナ・キウイなど)みかん粕・飼料米・そうめん・ビートパルプ・コーンストークペレット・焼酎粕を混ぜ、乳酸菌を入れて曝気し密封します。

強制発酵させて、40日前後でエサとして食べさせることができます。

「うの花サイレージ」のメリット

  1. ペーハーが3.7~4.0くらいに落ちるので腐敗しにくい。
  2. 人間が食べているヨーグルトと同じ様な物で、牛が食べると第1胃内で微生物の活動が活発になる。
  3. 乳酸菌が増えることにより、有用な微生物タンパク質が増える。

松永牧場では、「うの花サイレージ」「とうもろこし」「大麦」などの濃厚飼料を混ぜ合わした自家配合飼料を中心に、 日清丸紅飼料から購入した配合飼料を組み合わせています。

さらにコンプリートフィーダーで「稲わら」「麦わら」といった粗飼料を配合し、 給餌プログラムに沿って管理しています。

給餌プログラムとは

給餌プログラムとは、牛の成長を前期後期と分け、それぞれの目的に合う餌内容を設定してあるものです。

  • 前期:たんぱく質を多めにし、筋肉、骨格、胃袋を作っていく。
  • 後期:でんぷん質を多めにし、筋肉の中に脂をのせてサシを作っていく。

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牛舎について

牛を健康に育て上げるため、ストレスのない清潔な牛舎環境づくりを行っています。

清潔な牛舎は、病気にもなりにくくストレスも少ないため、牛の健康管理の面でも大変重要なポイントです。

また、成長過程に合わせた環境の牛舎を用意しており、牛を大切に育てています。

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殺虫剤の使用を最小限にしています

当牧場は中山間地にあり、牧場入り口付近の地域は蛍の生息地でもあります。

シーズンには見事な蛍の光が幻想的な森を見せてくれます。

そんな自然に囲まれた環境の中で生態系は保たれ、牧場の敷地内にある池や水たまりの周りには、島根県では『準絶滅危惧』に選定されているモリアオガエルが毎年卵を産みます。

そのモリアオガエルは牧場で発生するハエなどを食べ、また、水辺に生息しているアメンボ等は、ボウフラを食べて蚊の発生を抑えてくれています。

このように牧場内でも自然界でつくられたであろう食物連鎖が行われているおかげで、殺虫剤の使用を最小限に抑えることができています。

航空写真
航空写真
アメンボ
あめんぼ 
モリアオガエル卵
モリアオガエル